高血圧症教室
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高血圧の原因は?

高血圧症の治療指針(97年)

高血圧症の治療指針(99年)

降圧薬(高血圧の治療薬)

高血圧治療ガイドライン2000

高血圧治療ガイドライン2009

高血圧症の患者さんはかなり多いのでしょうか?

 高血圧症は血圧が高すぎる状態で、放置すると脳卒中心筋梗塞など動脈硬化による恐ろしい病気の原因となったり心臓肥大をおこしたりする病気です。我が国では軽症者も含めると60才以上の高齢者の約半数が高血圧症であると考えられています。

高血圧は脳卒中や心筋梗塞の原因になるとのことですが、では血圧がいくら以上の場合治療が必要なのでしょうか?

 高血圧の治療は、今お話に出た脳卒中心筋梗塞および心臓肥大などの高血圧に由来する合併症の予防が目的です。この目的のために血圧をどの程度まで下げたらよいかということについて、世界中の各国で基準がもうけられています。これらを総合的に判断すると、最大血圧が140 mmHg以上あるいは最小血圧が90 mmHg以上の場合には治療が必要と考えられます。ただ、脳卒中心筋梗塞の原因になる糖尿病や、これらの血管病になりやすい腎障害、あるいは、既に心筋梗塞を発症してしまった患者さんではもう少し厳しい基準、つまり最大血圧で130 mmHg以上あるいは最小血圧で80 mmHg以上の場合治療が必要と考えられます。

高齢の方についてはどうですか。

 65歳以上の方でも、やはり血圧が140/90以上であれば治療で血圧を下げることで脳卒中心筋梗塞がある程度予防できます。ですから、壮年者とほぼ同じ基準で治療を開始します。ただ、75歳を越える方では、壮年者と同程度まで血圧を下げる必要はないかもしれません。

高血圧症の治療ではどのようなことが重要なのでしょうか?

 高血圧症の患者さんで、まず注意していただきたいのは日常生活です。高血圧症の患者さんでは肥満傾向の方や血糖が高めの方、またコレステロール、中性脂肪などの血液中の脂肪が高い方が多いのです。これら高血圧以外の異常も、やはり動脈硬化を促進させ脳卒中心筋梗塞の原因になります。ですから、血圧以外の体の状態も含めて、日常生活いわゆるライフスタイルの改善が重要です。

具体的にはどのようなことに注意したら良いのでしょうか?

 まず、肥満した高血圧症の患者さんではカロリー制限や運動による減量が必要です。減量により実際血圧が低下します。例えば1kgの減量で血圧が1−2mmHg低下するといわれています。また、肥満の是正は、血糖値や血液中の脂肪に対しても好影響をもたらし、脳卒中心筋梗塞を予防します。

 次に、高血圧症の患者さんでは塩分制限が重要です。患者さんにもよりますが、減塩によって血圧自体が低下します。一方、果物や生野菜に多く含まれるカリウムは多少血圧を下げるといわれています。ただ、このカリウムは腎臓が悪い方は取りすぎないようにする必要があります。また、カルシウムも欠乏すると血圧が上昇するので、欠乏しないようにする必要があります。

食べ物以外飲み物、特にアルコールはどうですか?

 アルコールはやはり飲みすぎると血圧を上げることになりますので要注意です。。ただ、少量のアルコール、つまり日本酒1合ビール1本程度までであればそれほどの悪影響はないともいわれています。

ではタバコはどうですか?

 タバコは”百害あって一利なし”の言葉どうり厳禁です。喫煙が肺癌の原因であることはよく知られていますが、喫煙は脳卒中心筋梗塞の原因でもあり、また、そのほかの様々な体の異常を引き起こします。このため、いろいろな癌、心臓病、脳卒中、肺炎などあらゆる原因での死亡率が、喫煙者では非喫煙者の1.8倍の高率となっています。ですから、タバコを吸われる方は、ご自分の死亡率が約2倍になること、平均寿命が10年以上短くなること、同居者同室者にもある程度これらの影響が及ぶことを知らなければならないと思います。

タバコは健康に大変よくないので禁煙が必要ということですね。 そのほかに何か注意することがありますか?

 食べ物では、魚の油や緑黄色野菜に心筋梗塞などの動脈硬化による心臓病をある程度予防する働きがあると考えられています。コレステロールが高い方はコレステロールの多い食物を制限する必要があります。また、適度な運動をすることで血圧が低下します。心臓病などがない中年の方では、息が切れない程度、つまり脈拍が1分間に110−120程度になるような運動、例えば、早歩き、サイクリング、水泳などをできれば毎日30分以上行うと良いでしょう。数カ月続けると血圧が5−15程度低下します。運動はまた肥満糖尿病にも効果があり、これらと合わせて動脈硬化をおさえ心筋梗塞や脳卒中の予防に効き目があります。

 

 脳卒中のほとんどや心臓病の多くは動脈硬化によるもので、これら動脈硬化症による死亡数は癌による死亡数とほぼ同程度になっています。様々なライフスタイルの改善により血圧、体重、血糖などを正常化し、動脈硬化の進行を防ぐようにしたいものです。


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