高脂血症(脂質代謝異常症)教室
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高脂血症の薬


高脂血症(脂質代謝異常症)とは?

 血液中の脂質(脂肪)が異常に多い状態を高脂血症といいます。また、このインターネット成人病教室では血液中の様々な脂質成分のバランスに異常が認められる場合、その状態を脂質代謝異常症と呼びます。このページではこれらのうち特に動脈硬化と関連したものについて説明します。

血液中の脂質(脂肪)にはどのようなものがありますか?

 血液の中には脂質(脂肪類の総称)として、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、脂肪酸などがあります。この中で、特に動脈硬化と関連するのはコレステロール中性脂肪(トリグリセライド)です。

血液はそのほとんどが水だと思いますが、どのようにして脂肪がまざっているのですか?

 たしかに、血液の主成分は水ですから、脂肪(油)は直接血液に溶け込むことはできません。そのかわり、実際の血液中では脂肪がうまく水にまざっているのです。脂質を血液中にうまく混ぜ合わせる働きをしているのが蛋白質です。油と水を例にとると、放っておけば油は上に、水は下にたまってしまいます。このように油は水に溶けません。しかし、ここで洗剤を入れると油は水にうまくまざり込み、油が水に溶け込んでいるのと似た状態になります。血液中では、蛋白質が脂質を血液にまざり込ませる洗剤の役割をしているのです。実際は、脂質と蛋白質がダンゴ状に混ざり合い、これが血液に溶け込んでいます。この脂質と蛋白質でできたダンゴを、リポ蛋白質と呼びます。

高脂血症や脂質代謝異常症ではそのリポ蛋白質はどうなっていますか?

 血液中の脂質の量や成分に異常が認められる高脂血症や脂質代謝異常症でも、これらの脂質がリポ蛋白質として血液中に混ざり合っていることにはかわりがありません。ですから、これらの脂質の異常の場合にはやはり血液中のリポ蛋白質の量、種類、成分に異常が認められます。

動脈硬化と特に関連が深いリポ蛋白質にはどのようなものがありますか?

 LDL(低比重リポ蛋白質)およびレムナントと呼ばれるリポ蛋白質が動脈硬化を促進させ、HDL(高比重リポ蛋白質)と呼ばれるリポ蛋白質が動脈硬化を予防することが知られています。

高脂血症や脂質代謝異常症の原因は?

 腎臓病、糖尿病、肥満症、甲状腺機能異常などが原因となります。しかし、これらの原因が見つからず、体質(遺伝的素因)が原因と考えざるを得ない患者さんが多いようです。

健康診断でコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)を測ってもらいましたが、その結果がよく分かりません。

 一般の健康診断(人間ドック)では、総コレステロール、HDLコレステロールおよび中性脂肪(トリグリセライド)を測定するのが普通です。これらの3種類の測定から、LDL、カイロミクロンおよびHDLの量が推定されています。

 HDLコレステロールは直接HDLの量を反映すると考えられています。また、LDL(LDLコレステロール)の量は、LDLコレステロール=総コレステロール−HDLコレステロール−(中性脂肪÷5) として推定されています。レムナントはコレステロールおよび中性脂肪が高くHDLコレステロールが低いときに多いことが知られています。

では、これらの結果がどの程度の時に注意が必要ですか?

 ガイドライン2002

また、

の時も治療が必要とされています。

 また、動脈硬化とは関係がありませんが、総コレステロール 130 mg/dl 以下の時には、脳出血などの病気になりやすくなるので低すぎても要注意です。

これらの異常を放っておくとどうなりますか?

 全身の動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳血栓・脳梗塞、足などの閉塞性動脈硬化症などを起こしてきます。

では、治療はどうしたらよいでしょうか?

 高脂血症・脂質代謝異常症の治療の目的は、上に書いたような動脈硬化による病気がおこることを予防することです。

 腎臓病、糖尿病、肥満症、甲状腺機能異常などの原因が認められるときは、先ず、これらの病気をしっかり治療することが重要です。

 これらの原因となる病気の治療を十分に行っても、高脂血症や脂質代謝異常症が完全には改善されないときや、体質が原因となっていると考えられるときは、高脂血症や脂質代謝異常症自体に対しての治療が必要になります。

具体的にはどうしたらよいでしょうか?

 先ず、食事療法や運動療法を行ってください。

食事療法

 コレステロールが高いときは

 
 中性脂肪(トリグリセライド
が高いときは

 
 なお、動脈硬化の予防に緑黄色野菜に多く含まれるβカロチンが有効との説がありますが、普通にこれらの野菜を食べている人がそれ以上に薬物としてをβカロチンとっても特に動脈硬化を予防できるわけではないようです。また、特に血液中の脂質に異常がない方が極端な食事療法を行うと健康にはかえって害になります。

運動療法

 運動療法は動脈硬化をおこすLDLを低下させ、動脈硬化を予防するHDLを増加させます。また、中性脂肪(トリグリセライド)、血圧、および血糖も低下させるので、高脂血症・脂質代謝異常症の治療および動脈硬化症の予防に有効です。

食事療法や運動療法をしっかり行っても血液の脂質があまり改善しないときは?

 患者さんによっては、薬を使ってコレステロ−ルや中性脂肪(トリグリセライド)の値を改善させないといけない場合もあります。

 既に心筋梗塞などの動脈硬化による病気を起こしてしまった方、また、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病も合併している方などは特にしっかりと治療しなければなりません。

 には

などがありますので、主治医と相談の上服用してください。


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